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男性の妊活

監修:いぐち腎泌尿器クリニック 井口 裕樹 先生

男性の妊活

男性の年齢と精子の関係について

男性の年齢と精子の関係について

女性と同様に、男性も加齢とともに妊娠能力が衰えていきます。年齢が進むにつれ、勃起・射精機能が低下するだけでなく、精液量も減少し、精子の数や運動率、正常形態率などが低下するため、妊娠しにくくなります。
高齢の男性の精子では、人工授精を行った場合に、若年の男性の精子よりも妊娠率が低く、さらに流産のリスクも高まるため、精子の質自体が悪化していると考えられます。
最近の研究では、35歳頃から精液所見(精液検査の結果)に悪化の兆しが現れ始めるされています。また、所見には個人差があり、生まれつき所見がよくない人などは、より早く悪化しやすいといわれています。

「子どもを授かりたい」と思ったら
まずは検査から

子どもを授かりたいと思ったら、まず初めにできること、それはあなた自身やパートナーの体の状態を知ること。 広島県では、将来子どもを授かることを望むご夫婦に、まずは2人で検査を受けてみることをおすすめしています。 2人の未来のために、検査を受けることから始めてみませんか?

何で検査が必要?

妊活を行ってもなかなか妊娠しない場合は、不妊検査を考えたほうがよいでしょう。
一般的には、女性の排卵日を考えたうえで性交を行っても、1年間妊娠しない場合(女性の年齢が高い場合は6カ月)で不妊検査がすすめられますが、心配であれば早く初めても大丈夫です。
重要なのは、「男女とも、同じタイミングで検査を行う」こと。
不妊治療は男女のうちで、条件のよくない方に合わせて治療方針を決定します。
あなたとパートナーに合った不妊治療を見つけるためにも、まずは2人で一緒に検査を行いましょう。

検査の内容・方法は?

まず精液検査を行います。
精液検査では、あらかじめ採取しておいた精液を病院に持参して、精液量、精子数、運動率、直進率、正常形態率などを調べます。体調などの要因によって結果に大きな変動が出るので、短期間に2回以上行い、平均して評価する必要があります。
精液所見に異常が認められた場合、次のような検査で原因や治療の方法を探ります。

触診・超音波検査

精巣の状態を診察します。精巣の大きさは、おおまかに精子をつくる力を表すとされるため、必ず計測します。また、精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)や、がんなども合わせてチェックします。

血液検査

精子をつくるために必要なホルモンの過不足や、ミネラルなどの異常がないかを調べます。

精子数が極端に少ない場合や精子がない場合には、染色体や遺伝子の検査を行うこともあります。さらに、精液中に白血球(膿み)があれば、感染症にかかっていないか調べます。

検査期間について

精液検査は、泌尿器科や産婦人科などで行い、結果は施設によって、当日もしくは後日判明するのか異なります。
血液検査は、通常1週間くらいで結果が分かります。(染色体検査では1ヶ月かかることもあります)

精子力を高める8つのポイント

  • ①タバコ・お酒は控えよう

    タバコ・お酒は控えよう

    タバコが精子によくないことは、喫煙者の精液所見からも明らかです。喫煙には適量というものがないため、妊活中は禁煙をおすすめしています。
    また、過度の飲酒は精液所見を悪化させる、人工授精などの不妊治療が成功しづらくなるなどの報告があります。お酒はほどほどにするのがよいでしょう。

  • ②禁欲しない

    ②禁欲しない

    かつては禁欲(射精の間隔を空けること)は長いほうが精子が濃くなるため効果的とされていましたが、現在では否定されています。
    禁欲期間が長いと、精子の染色体や遺伝子が傷んでくるため、かえって不妊治療の成績が悪くなります。
    射精後24時間で精子は回復するという意見もあり、精子は毎日つくられているので、無理な禁欲はせず、射精することで元気な精子を保ちましょう。

  • ③長時間のサウナ(長風呂)は控えよう

    タバコ・お酒は控えよう

    週2回、3カ月間サウナに通った男性で、精子数や運動率が減少したという報告例があります。精子は熱に弱いため、体温が上昇することで精子に悪影響をおよぼすと考えられます。
    日常的にサウナを利用している人は、妊活中は控えておいた方がよいでしょう。

  • ④股間を刺激しすぎない

    タバコ・お酒は控えよう

    股間には勃起に関する血管が通っています。股間を過度に圧迫することで血管が損傷し、勃起障害が生じるといわれています。
    スポーツ自転車のサドル(先端がくちばし状に細くなっているもの)でより生じやすく、精巣が体とサドルに挟まれることで、温度の上昇や圧迫によって精子によくない影響が出る可能性があります。
    ただし、通常の自転車で街乗りする程度なら問題はありません。

  • ⑤AGAの薬はやめておく

    タバコ・お酒は控えよう

    AGA(男性型脱毛症)の患者さんは、「フィナステリド」や「デュタステリド」などの薬剤を内服していることがあります。
    これらの薬剤は、精子をつくる力に悪影響をおよぼす可能性があります。
    1年間内服して影響がなかった、という報告もありますが、内服を中止して精液所見が改善したという報告もあります。
    妊活中は内服の中止をおすすめします。

  • ⑥食生活に気をつけよう

    タバコ・お酒は控えよう

    野菜や果物に含まれる抗酸化物質(ビタミンC、E、リコピン、βカロチン、ポリフェノールなど)が、精子の運動性を改善するとされています。
    脂肪は精子によくないとされるため、肉類では脂肪の少ないものがよいでしょう。
    亜鉛が不足している人では、亜鉛を補充すると精液所見が改善することがあります。

  • ⑦糖尿病・生活習慣病に気をつけよう

    タバコ・お酒は控えよう

    糖尿病の合併症に「勃起・射精障害」があります。
    治療によって血糖値が改善しても、勃起・射精障害は改善しないことも多いため、治療中の場合は悪化させないよう、主治医とよく相談して一層気をつけましょう。
    また、糖尿病患者の精液所見は、不良なことが多いとされています。
    高血圧・高脂血症・肥満症などの患者でも、精液所見不良や、勃起障害の頻度が多いとされています。

  • ⑧ストレスをためすぎない

    タバコ・お酒は控えよう

    心理的なストレスが精液所見を悪化させるという報告があります。
    ストレスの要因はさまざまですが、不妊治療が心の負担になっていることも考えられます。
    悩みを抱え込まないで、医療機関へ相談して具体的な解決方法を考えましょう。
    また、夫婦間で悩みやつらさを話し合い、互いの想いを打ち明けることも大切です。

2人で一緒に始める

男性の妊活では、精子にかかわる体調管理が大切だとお伝えしました。
妊活は、男女が力を合わせて一緒に取り組むことがとても大切です。
「2人で妊活」のページでは、健康的な食生活のこと、仕事との両立のこと、妊娠にまつわるウワサの真相など、
是非パートナーと一緒に読んでいただきたいお話をご紹介します。

妊娠って奇跡みたいなもの

避妊をしなければ、妊娠できる、妊娠させることができると思っていませんか? 一般的に、健康な若い男女が妊娠をしやすいとされる時期にセックスをしても、妊娠の確率は約20~30%ほどだといわれています。 1度に数千万個の精子が膣内に射精されても、卵子がいる場所までたどり着けるのは、ごくわずか。 精子は卵子に出会うまで、とても長く過酷な旅をして、数億個のなかで生き残った、たった1つの精子だけが、卵子と受精することができるのです。 妊娠とは、さまざまなタイミングが重なり合った、二人の間で起こる奇跡といえるでしょう。

妊娠のしくみ

妊娠のしくみ

女性の卵巣の中で一生分の卵(卵子)は眠っています。目覚めた卵子の中から、1個だけが排卵に至ります。 精子は男性の精巣内で、精子のもとの細胞から約74日間かけて作られます。 射出された数千万個の精子は、膣、子宮、卵管を進むにつれて徐々に減少し、受精の場である卵管の最も太い部分に到達できる精子は60個程度といわれています。
そして排卵された卵子とたった1つの精子が受精し、受精卵となります。
受精卵は細胞分裂を繰り返しながら着床の場である子宮を目指します。子宮に到達した受精卵は子宮内膜へ着床し、妊娠が成立します。 つまり、妊娠するためには、卵子と精子が元気であること、受精の場となり受精卵が育つ卵管、着床し受精卵を育む子宮が十分機能していること、卵子や精子が出会うタイミングなど、さまざまなことが重要となってきます。

知っておきたい
不妊のこと

不妊とは?

「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しない状態をいいます。
日本産科婦人科学会では、この「一定期間」について「1年とみるのが一般的である」と定義しています。 また最近では、約3組に1組のご夫婦が不妊を心配したことがあり、約4.4組に1組のご夫婦が実際に検査や治療を受けているというデータがあります。
参考:公益財団法人日本産科婦人科学会ホームページ
出典:国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査」

男性の不妊の原因は?

男性の不妊の原因として最も多いのが「精索静脈瘤」です。
精巣の周辺の静脈がこぶ状に膨れる病気で、生命にかかわるものではありませんが、男性の不妊患者のおよそ3割に見つかる症状です。
他には、

  • 精巣の腫瘍
  • 精子をつくるホルモンの数値が低い
  • 精液の通り道に感染症(クラミジアなど)が生じている

などの異常が見つかることがあります。
また、検査を行っても、必ずしも原因が判明するわけではありません。

その他の考えられる原因
  • 抗がん剤や放射線治療を受けた人
  • 生まれつき精巣が小さいなどの身体的要因
  • 心理的ストレスや糖尿病、外傷などによる勃起障害や射精障害

2人で一緒に始める

男性の妊活では、精子にかかわる体調管理が大切だとお伝えしました。
妊活は、男女が力を合わせて一緒に取り組むことがとても大切です。
「2人で妊活」のページでは、健康的な食生活のこと、仕事との両立のこと、妊娠にまつわるウワサの真相など、
是非パートナーと一緒に読んでいただきたいお話をご紹介します。